竹中平蔵氏の年金に関する発言で思ったことの話
小泉内閣では金融担当大臣などを努め、現在はパソナグループの取締役会長をしている竹中平蔵氏の次の発言がちょっとした話題になっている。
年金というのは、生きるリスクに対してかける保険。「90歳まで生きるつもりでそこまでのお金を貯めていたけど、100歳まで生きちゃった」というリスクにかける保険です。
-出典:みんなの介護「賢人論。」第13回前編より-
そもそも日本人は、社会保障に対して誤解をもっています。自分が90歳まで生きると思ったら、90歳まで生きる分のお金を自分で貯めておかないとダメなんですよ。保険は不測の事態に備えるものなんですから。
-出典:みんなの介護「賢人論。」第13回前編より-
僕も年金は生きるリスクに対してかける保険というのは同意だ。
しかし、その後の発言は違うと思う。
竹中氏は自分の予測より長生きした場合に備えるのが年金だと主張する。
でも僕は、年をとって仕事ができなくなった時に備えるのが年金だと思っている。
老後の為に貯金は必要だとは思うけど、あくまで最低限の生活に必要なお金(年金)にプラスアルファするための物だ。
この発言で、竹中氏は90歳から支給開始を例に出している。
90歳といえば、結構長生きしているイメージがある。しかし、竹中氏の年金90歳支給開始案では的を得ている年齢だったりする。
ちょっと古いデータだが、平成24年の厚生労働省のデータでは平均寿命が男性が79.94歳、女性が86.41歳となっている。
でも、平均寿命ってのは乳児や若くして亡くなった方も含めての平均なので、0歳の時点での寿命予測だ。
だから、現在年金が支給される65歳から、実際にどれくらい平均長生きするかは平均余命を見なくちゃいけない。平均余命を見てみると、65歳時点で後どれくらい寿命があるかは男性は18.89年,女性は23.82年となっている。
すなわち、65歳まで生存した人の平均死亡年齢は男性で約84歳、女性で89歳ってわけだ。
女性を見ると、現在年金が支給される65歳まで生きた人は、89歳まで生きるのが一般的になので、今後はそれを超えた90歳から支給しましょうってことだろう。
非正規雇用者の平均年収は250万~300万円と言われている。
この収入から90歳までの老後の生活費を貯蓄しろというのは無茶だ。
日本のGDPの6割は個人消費(民間最終消費支出)が占めているのに、こんなことして貯蓄にお金を回していたら、ますます不景気になる。
税収が減って、社会保障費を工面するのがより難しくなる。
年金改革は必要かもしれないが、この解決法は違うと思う。