テキコメ

日々のニュースに関して、思いつくまま適当にコメントします。他にも趣味などの話題も適当に。

日本の奨学金問題について考えてみた。


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安倍首相は3月29日の記者会見で、奨学金制度について「厳しい状況にある子どもたちには、返還が要らなくなる給付型の支援により手を差し伸べる」と給付型奨学金創設する考えを述べました。

最近、話題になっている日本の奨学金制度とそれに付随する問題について、考えてみます。

 世界の奨学金制度と日本の奨学金制度

奨学金の制度には、お金を貸して後で返済して貰う貸与型(有利子・無利子)とお金を渡し、返済不要の給付型の制度があります。

 OECD加盟34か国の中で、給付型奨学金の制度がないのは2か国のみ。その内の1か国は日本です。ちなみに、もう1か国のアイスランドは国立大学の授業料が無料(登録料のみ)で大学院研究コースには給付金制度があります。

スェーデン、ノルウェーフィンランドなど社会保障が厚い北欧はもちろんのこと、イギリス、アメリカ、韓国なども給付型奨学金制度はあります。給付型奨学金制度のない日本は異端なのです。

世界の大学授業料と日本の大学授業料

OECD35か国において、国立大学の授業料が無料の国は13か国あります。G7各国の授業料を見てみると、アメリカ("879,800円")・イタリア("167,800円")・イギリス("1,523,200円")・カナダ("570,800円")・ドイツ("無料")・日本("535,800円")・フランス("26,500-56,400円")となっています。(年度・州地域条件などによって異なる)

日本の授業料はイギリス・アメリカより安く、カナダと同じぐらいで、ドイツ・イタリア・フランスより高いという状況です。

また、給付水準の高低はイギリス・アメリカ・カナダ・ドイツが高く、イタリア・フランスが低いようです。

すなわち、日本は授業料がそこそこ高いのに、給付型の奨学金制度がないという状況が問題となっています。

奨学金を貸し付けている日本学生支援機構とは

文部科学省管轄の独立行政法人で、貸与奨学金事業や留学支援を行っています。文部科学省天下りで、奨学金事業で純利益もしっかりとだしております。平成26年の資料を見てみると理事長の年収が約1,800万理事(4人)の年収が約1,600~1,700万で常勤職員(323人)のモデル年収は35歳で約560万、45歳で約770万となっています。

現在の奨学金の状況と今後の提案

1990年の大学数は約500、学生数約21万、教員数約12万、平均世帯所得は約600万

2015年の大学数は約780、学生数約27万、教員数約18万、平均世帯所得は約530万

このデータからわかるように、家庭の所得は低くなっている。しかし大学に進学する人は増えた。そして大学が増え、当然教員も増えている。(短大は減っています)

したがって奨学金を借りる学生が増え、多額の奨学金を有利子(最高3%)で借りて、高額な授業料で大学の職員の給与を支え、利子を付けて日本学生支援機構に返済し、その利子は機構職員の給与を支えている

この仕組みを少しでも緩和するために、先ずは借入金額を少なくするために授業料を安くするようにする(国立を率先して)。そして返済の負担を緩和するために、無利子型の奨学金を拡充し、給付型奨学金も合わせて創設する。早くこの政策を実行して、少しでも奨学金で苦しむ若者が減っていくことを望みます。

※世界の大学に関する授業料は国立国会図書館の資料「諸外国における大学の授業料と奨学金」を参考にさせて貰いました。

※今般のエントリーはまだまだ纏めきれていないので随時追記予定。