地方自治の直接民主制が軽視されている。阪南市の幼稚園・保育所統合問題にて。
大阪の南部に阪南市という市町村がある。
人口は5万ちょっとの市だ。
最近、この阪南市で住民が2割を超える署名を集め、住民投票の実施を求めた。
しかし、残念なことに市長はその要望を退けてしまった。
有権者の代表である市議会議員が賛成したから、必要ないというのが拒否理由だ。
そもそも、なぜ阪南市の住民が住民投票を求めたか。その理由は幼稚園・保育園の統合問題だ。
現在、阪南市には市立幼稚園が4つ、保育所が3つある。これらの計7つの幼稚園・保育園を総合子供館(仮称)として1つに統合するというのだ。
統合理由は、既存の幼稚園・保育所は建物の老朽化が進んでおり、南海トラフ地震も懸念されるなか、この建物では危険なのでしっかりとした建物の1か所に集まろうということだそうだ。
既存の場所での建替えや、3~4か所での統合を考えてもいいものだが、1か所にした理由は、どうやらお金の問題。
1か所であれば、費用が節約できて、おまけに国から地域再生戦略交付金という補助金まで貰えるようだ。
すなわち、3~4か所に統合するお金がないんで、費用節約・国から補助金の一石二鳥の1か所統合。
だが、もちろん1か所にすることにより保護者の送迎負担や、子供にとっても色々なリスク(集団感染、子供同士のいざこざ等)が増える。
それらの問題については、新聞やテレビ、ネットで取り上げられているので、ここではそれについては語らない。
僕が憤りを感じるのは、市長が住民投票の要望を退けたことだ。
日本の政治システムの基本は、間接民主制だ。
有権者の意見を代表する人を選挙で選び、本人の代わりに(間接的に)色々決定してもらう。
一方、国民投票などの全有権者の投票によって決定させるのが直接民主制だ。
間接民主制と比べれば手間はかかるが、当然有権者の意見はこちらの方がより正しく反映される。
地方自治は国政と違って、有権者との距離が近いのだから、直接民主制を重視するのが本来のコンセプトだ。それを蔑ろにしてはいけない。
これだけの市民が住民投票を求めているのだから、直接民主制でこの問題に決着をつけるべきなのだ。
その結果で良くもなろうが、悪くなろうが住民が決めたことだから仕方ない。
日本は民主主義なんだから、住民の決断をより正しく反映させなくてはいけないのだ。
地方政治の有権者には議会の解散やリコール(市長の解職や議員の解職)などの直接請求権がある。
市政を担う市長や議会が意見を正しく反映させていないのならば、有権者が市長や議員を解職を求めることができるのだ。