テキコメ

日々のニュースに関して、思いつくまま適当にコメントします。他にも趣味などの話題も適当に。

鴻海(ホンハイ)精密工業のシャープ買収について。


<スポンサーリンク>

f:id:tekikome:20160409083138j:plain

 

台湾企業の鴻海(ホンハイ)精密工業が、総合電機メーカーのシャープ(大阪本社)を3,888億円で買収することが決定しました。当初予定は4,890億円でしたから、シャープが提出した偶発債務をネタに約1,000億円の値切りに成功です。また、「鴻海の責任以外で契約が破談となった場合は、シャープの液晶事業だけを購入することができる」という、鴻海にとって保険的な内容の契約を新たにつけております。

 シャープという企業と鴻海という企業

シャープ創業者は早川徳次関東大震災によって拠点を東京から大阪に移し、現在に至る。シャープペンシルの発明や国産初のテレビ製造、ツインファミコンの発売、業界初のカメラ付携帯電話の発売、液晶テレビ太陽光発電システムなどで有名。2008年3月期に連結売上高3兆4,177億円(純利益1,020億円)を記録するが、その後の衰退はご存知の通り。

一方の鴻海精密工業の創業者は、現会長の郭台銘(英語名:テリー・ゴウ)。台湾の台北県土城郷にて創業。傘下のフォックスコン・グループは電子機器を受託生産するEMS企業で、顧客はアップル(iphoneipad)やソフトバンクpepper)などの有名企業多数。2014年12月期の連結売上高約15兆1700億円

なぜ鴻海はシャープを買収したのか

理由①シャープのディスプレイ事業が魅力

鴻海は既にグループに液晶子会社を持っていますが、品質面がいまいちなようです。シャープには高精細で省電力の液晶技術「IGZO」があり、また有機ELの研究もしています。顧客のアップルを満足させ、韓国のサムスンやLGと競争していくためには、ディスプレイの品質向上が必須であり、シャープにその役割を求めるようです。

理由②中国依存からの脱却

郭台銘会長は外省人で、中国本土でもコネクションが強いようです。それを生かし、鴻海は中国の広大な土地と安価な労働力を武器に成長してきました。しかし、台湾では2016年1月に穏健独立派の蔡 英文総統が誕生。中国と台湾の関係が悪化する懸念があります。以前から中国以外への工場の建設を進めていましたが、今後はシャープという独自ブランドや技術を入手し、中国に頼らずともやっていける鴻海を目指していくと思われます。

産業革新機構はなぜ敗れたか

鴻海と同様に官民ファンド産業革新機構約3,000億円規模の支援案を出していました。その内容はシャープのディスプレイ事業ジャパンディスプレイに統合し、太陽光事業は昭和シェル系子会社との統合。そして家電事業を残し、東芝の家電事業を吸収させる案を考えていたようです。

一方の鴻海は太陽光発電以外は売却しないと宣言しておりました。鴻海の言葉は甘言かもしれませんが、シャープにとって大赤字とはいえど、メイン事業のディスプレイ事業を取られ、バラバラになるのは我慢ならなかったのだと思います。

今後のシャープはどうなるか

鴻海は太陽光事業以外は売却しない、40歳以下はリストラしないと言っていました。しかし裏を返せば、太陽光事業は売却し、40歳以上はリストラするとも受け取れます。実際のところ、どうなるかはわかりませんが、私はシャープの技術と鴻海の生産能力は協力なタッグになると思います。また、郭台銘会長は相当厳しいでしょうが、経営者としては優秀です。何年後になるかは、わかりませんがシャープ復活の可能性は十分あると思います。

 

※この記事は筆者の主観などが含まれています。投資などの判断はご自身で行って下さい。